9月議会反対討論
2021年09月13日
私は日本共産党市議団を代表して本議会に提案されております諸議案のうち、議案第192号ないし194号および196号に反対し、討論を行います。
まず議案第192号「令和3年度福岡市一般会計補正予算案(第4号)」についてです。
この議案は、新型コロナウイルス感染症対策、国の内示等に伴う公共事業の変更などを盛り込み、一般会計に約98億円の補正をおこなうものです。
補正予算案のうち、新型コロナウイルス感染症関連として計上されている事業については一刻も早く市民に届けるべきであるというのがわが党の立場でありますが、他方でそれ以外の部分には市民の立場から看過できない問題点が含まれております。
ここではその2つの問題点について述べます。
第一は、天神通線延伸にともなう用地取得費約38億円についてです。
この事業は国体道路と明治通りを結び、市役所の東側を走る天神通線を北側に110メートル延伸するものであります。今回の補正予算案には、延伸区間の土地取得のための用地費が計上されています。
この延伸計画は規制緩和などによりオフィスビルを大量につくりだす「天神ビッグバン」の一環であります。天神通線の総事業費は、令和2年度第2回福岡市都市計画審議会のなかで、「概算事業費として通常の事業で道路整備を行った場合で約160億円程度になると見込まれるが、今回想定しているまちづくりと一体的に取り組む事業手法とすることで、約60億円程度に縮減できる」と都市計画課長より答弁がされておりました。
しかし、今回の補正予算案に計上されている予算額をみると、計画全体の23.9%にあたる約350平方メートルの用地費が約38億円となっており、この金額を全体の約1460平方メートルに換算すれば約158億円の用地費がかかるという計算になります。これでは約60億円程度に縮減することは到底不可能であります。このことを委員会審議で質したところ、道路下水道局からは、総事業費は定かではないとの答弁がされております。わが党が指摘したとおり、移転補償費等を含めて、今後、何十億、何百億円に膨らむかわからないまま事業をすすめていくのはあまりにも無責任であると、言わなければなりません。
コロナ禍に伴う企業の業績悪化やテレワークの影響でオフィスを縮小する企業が増えております。そのようななか、天神通線は必要のない道路整備であり、不要不急の大型開発を進める「天神ビッグバン」そのものをやめるべきであります。
第二は、公園整備事業のうち、アイランドシティ中央公園の老朽化した施設の更新にかかる約900万円についてです。
今回の補正予算案には、アイランドシティ中央公園内の国際交流庭園に設置されている池に水を送るための井戸の整備費が計上されています。
この池は2005年に設置されたものであり、16年しか経過しておらず、改修する必要はありません。それにも関わらず進めるということは、まさに人工島事業の穴埋めであり、不要不急であると考えます。人工島事業は土地が売れないために、企業立地交付金というプレゼントをつけた上に、原価割れで叩き売りをして最大421億円の大赤字を残す見込みになっていますが、そのような破綻した事業に2021年度当初予算で約120億円が投じられています。これは人工島だけを特別扱いするもので、これ以上の税金投入はムダ使いであり、やめるべきであります。
以上の理由から、わが党は本議案に反対をするものであります。
次に、同じ一般会計補正予算案に含まれているもののうち、わが党が賛成する事業についても意見を述べておきます。
一つ目は、感染症対応シティ促進事業についてです。
本事業は、市民の商品販売やサービス提供を行う来店型の施設等を対象に、感染症対策強化の取り組みのための工事費や物品・サービス導入費を支援するものです。今年2月補正で1度実施されたものであり、今回補正は2度目を実施するためのものであります。前回は想定を大きく超える申請があり、審査業務の遅れによって受けたい人が受けられない事態が生じました。そこで、今回実施に当たっては、前回のように給付を受けられない人を出さないようにすべきであり、受付体制の抜本的な強化によって、迅速な支給をすることを要求します。
二つ目は、公立夜間中学の整備事業についてです。
本事業は、様々な理由により義務教育を修了できなかった人や、不登校などの事情により義務教育が十分に受けられなかった人などを対象とする夜間中学校の設置に向けた施設改修等を行うものです。長年、公立夜間中学校設置を求める運動を進めてきた「福岡よみかき教室」及び「福岡市に公立夜間中学校をつくる会」のみなさんの努力が実ったものです。また、これまでわが党も文部科学省に直接要求するとともに、予算に当たっては市長、教育長にも毎年実現を求めてきたものであります。
初年度の生徒数の想定人数を40人程度としておりますが、近年、不登校の中学生は増加傾向にあるとともに母国で十分な教育を受けられないまま訪日した外国人も多くおられるなか、教育委員会が行ったニーズ調査において200人近い人が入学する意向を持っていることが明らかになっています。夜間中学校に通いたいというニーズは高まっており、想定人数を大幅に超える入学希望者が出る可能性が高いと思われます。そこで、入学希望者が想定を大きく超えたとしても、すべての方に教育を受ける権利を保障するために、受け入れ人数およびクラス数について柔軟に対応することを求めておきます。
また、夜間中学校新設にあたって、クラス分けをどうするか、定員をどうするか、カリキュラムをどうするか、さらに一人ひとりの状況に応じた教育保障をどうするかなど、様々な課題に直面すると思われます。したがって、教育委員会だけで何でも決めるのではなく、広く市民や関係団体、外部団体等との連携を図りながら準備を進める必要があると考えます。具体的には、協議会などを設置し、学校開設後も含めて広く市民や関係団体などの意見も取り入れ、進めるべきであることを指摘しておきます。
以上でわが党の反対討論を終わります。